❖文科省統計データー(平成30年)
少子高齢化が進む中、不登校生は毎年のように増えています。今回は文部科学省が算出している「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」から確認していきます。※参考リンク
全国の不登校生徒数(平成30年度)
学校 | 生徒数 | 不登校生徒数 | 割合 | 前年度比 |
小学校 | 6,451,187人 | 44,841人 | 0.7% | 28.0% |
中学校 | 3,279,186人 | 119,687人 | 3.6% | 9.8% |
高校 | 3,242,065人 | 52,723人 | 1.6% | 6.2% |
前年度比を見ると、少中高全ての課程で不登校生が増加しています。また、不登校生の割合は中学校が3.6%と最多となっています。
不登校生の割合は高校で減少しますが、これは中学校で不登校となった生徒が進学しないケースや、通信制高校などの中学時代にはなかった形式の学校へ進学することで、徐々に登校できるようになる生徒が多いためと考えられます。
なお、小学生での不登校前年度比の増加率が28%というのが気になります。

上記が平成30年度の1000人当たりの不登校生の全国の統計データー。平均が1000人当たり16.9人。愛媛県は13.5人。
愛媛県の平成30年度の小学生生徒数が69,473人、中学生生徒数が33,942人なので、小学と中学を合わせた生徒数が103,415人。
この人数を基本として愛媛県の不登校生徒数を計算すると1396人となります。
※平成30年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要
不登校になった原因・きっかけ(平成30年度)
区分 | 小学校 | 中学校 | 高校 | |
学校生活に起因 | いじめ | 359 | 678 | 208 |
0.8% | 0.6% | 0.4% | ||
いじめを除く友人関係をめぐる問題 | 9,740 | 35,995 | 9,224 | |
21.7% | 28.2% | 17.5% | ||
教師との関係をめぐる問題 | 2,009 | 3,028 | 613 | |
5.7% | 2.5% | 1.2% | ||
学業不振 | 6,795 | 28,687 | 9,436 | |
15.2% | 24.0% | 17.9% | ||
進路に係る不安 | 495 | 6,395 | 4,671 | |
1.1% | 5.3% | 8.9% | ||
クラブ活動、部活動への不適応 | 102 | 3,173 | 918 | |
0.2% | 2.7% | 1.7% | ||
学校のきまり等をめぐる問題 | 1,145 | 4,043 | 2,155 | |
2.6% | 3.4% | 4.1% | ||
入学、転編入学、進級時の不適応 | 2,026 | 9,207 | 7,192 | |
4.5% | 7.7% | 13.6% | ||
家庭生活に起因 | 24,901 | 37,040 | 8,084 | |
55.5% | 30.9% | 15.3% | ||
項目に該当なし | 6,165 | 16,041 | 15,282 | |
13.7% | 13.4% | 29.0% | ||
合計 | 44,841 | 119,687 | 52,723 |
※複数回答含
※パーセンテージは各区分における不登校児童生徒数に対する割合
不登校になった原因・きっかけとしては1位が家庭生活に起因、2位がいじめを除く友人関係をめぐる問題、3位が学業不振となっていました。
❖日本財団統計データ(平成30年度)
日本財団が実施した「不登校傾向にある子どもの実態調査」によると、不登校の定義を満たす中学生の数は99,850人で、文科省の統計データ(119,687人)と若干の差はあるものの大きな違いはありませんでした。調査対象:中学生年齢の12歳~15歳※参考リンク
調査項目 | 調査結果(%) | 人口推計 |
1年間に合計30日以上、 学校を休んだことがある/休んでいる人 |
3.1% | 99,850人 |
中学校に行きたくない理由
調査項目 | 調査結果(%) |
朝、起きられない | 59.5% |
疲れる | 58.2% |
学校に行こうとすると、体調が悪くなる | 52.9% |
授業がよくわからない・ついていけない | 49.9% |
学校は居心地が悪い | 46.1% |
友達とうまくいかない | 46.1% |
自分でもよくわからない | 44.0% |
学校に行く意味がわからない | 42.9% |
先生とうまくいかない/頼れない | 38.0% |
小学校の時と比べて、良い成績が取れない | 33.9% |
体調や学力に関する理由が目立ちます。気になる点として、「先生とうまくいかない」という項目を約4割の生徒が選択しており、文科省の統計データとは大きな差異が発生しています。
また、文科省のデータでは家庭環境を不登校の理由のうち最も多いとしていますが、日本財団のデータでは、上位10位中に家庭環境という理由は挙がってきていません。
この差異が生まれる要因として、文科省の統計は「学級担任など当該児童生徒の状況を最も把握することができる教職員」が、「保護者の意見を踏まえ、スクールカウンセラー等の専門家を交えたアセスメント(同意)を行った上で」報告しています。
そのため、本音を話せない、自分でも分からないという不登校者の実情が本当に反映されているとは限りません。
不登校傾向の中学生約33万人!
調査は、2018年10月に中学生年齢の12歳~15歳合計6,500人を対象にインターネットで行いました。
その結果、「年間30日以上欠席の不登校である中学生」は約10万人、「不登校傾向にあると思われる中学生」は10.2%の約33万人に上ることがわかりました。
不登校である中学生約10万人は文部科学省が各学校、教育委員会からの回答を基に集計して、毎年実施している調査でも明らかとなっていますが、「不登校傾向にあると思われる中学生」の数はその3倍にも上ることが初めて明らかになりました。
もしも、このデーターに基づいて、愛媛県の小・中学生の不登校傾向の生徒数を出すとすれば、先ほど文科省のデーターから算出した1396人を3倍して4188人の子どもたちが不登校傾向ということになります。